

こんにちは、Webエンジニアの仁木です。
最近はAIを使わない日はないという程、日々の業務の中でAIが使われるようになってきました。
半年〜1年前とは本当に制作のスタイルが大きく変わってきていると実感します。
特にここ最近はMCPを利用した外部サービスとの連携が非常に役立っています。
そこで今回はMCPについての紹介記事を書きたいと思います!
できる限り多くの人に興味を持ってもらえるように、仕組みを理解する部分以外ではなるべく技術的な内容を省いてみましたので、AIの活用に興味を持っておられる人はぜひ続きを読んでみてください。
MCPとはModel Context Protocolの頭文字をとった言葉で、ChatGPTやGeminiといったAIエージェントが、外部サービスやデータベースなどと連携するためのプロトコル(通信の規格)です。
Claude AIを開発しているAnthropic社が提唱し、どの企業が開発しているAIモデルでも利用できるように、共通のルールとしてまとめたものです。
MCPを利用することで、AIは効率的にデータを取得・更新できるようになり、出力内容の精度が向上されます。
MCPがまだなかった時、外部サービスのデータにアクセスするためには、それぞれのサービスが提供しているAPIを利用する必要がありましたが、APIはサービスごとに使い方が異なっているため、AIにはAPIの使い方から指示を出す必要がありました。
MCPがあることにより、MCPに対応するすべてのサービスはAIに使い方を指示しなくても簡単に連携することが可能になりました。
MCPの公式ページの紹介では、
「Think of MCP like a USB-C port for AI applications.(MCPはAIアプリケーション用のUSB-Cポートのようなものだと考えてください。)」
と書かれています。
AIをPCと置き換えるならば、外部サービスはPCを繋げる周辺機器になります。
サービスの提供者側からすれば、後述するMCPサーバーを用意すれば、各ユーザーが利用している様々なAIとサービスの連携が実現できます。
AIを利用するユーザー側からは、MCPに対応しているサービスであれば簡単にAIと連携することが出来るため、両者にとってwin-winな仕組みになっています。
また、様々なサービスをMCPを通じて操作できることによって、各サービス間の連携が容易となります。
例えば、「毎日の勤務時間を登録している勤怠管理のサービス」と「ドキュメント管理しているストレージサービス」があるとして、以下のような連携をAIに指示することが可能になります。
このようにMCPという共通規格があることにより、AIが出来ることの幅が大きく広がります。
MCPという共通の規格ができましたが、実際にその規格で通信するためには、MCPクライアントとMCPサーバーが必要になります。
MCPクライアントというのは、AIエージェント、つまりChatGPTやClaudeDesltop、CursorといったAIと対話するためのアプリケーションのことを指します。
MCPサーバーというのは、クライアント(AIエージェント)からのMCPのリクエストを受け付け、データ処理を行うシステムとの仲介役です。
MCPサーバーがリクエスト内容に応じたデータ処理を直接行うのではなく、AIからのリクエストを元に、実際の処理を行うシステムへリクエストを送信し、その処理結果をクライアントに返却する役割があります。
MCPサーバーでは、AIが実行できるツール群を予め定義しており、AIはそれらのツールを利用してサービス側のデータ操作が行えるようになっています。
MCPでAIが出来ることの幅が広がるということは、それだけ権限が増えることになります。
例えば、本来は変更してほしくない情報を変更してしまったり削除してしまったり、セキュリティの問題も同時に起こります。
MCPクライアント側ではこういった問題の対策として、AIがMCPを利用する際に、ツール毎に実行前にユーザーに実行許可をリクエストします。
許可されないツールについては実行されないので、意図しないデータの変更を防げます。
(承認を必要としないツールについては毎回の承認なしで実行するようにすることも可能です。)
例えばClaudeDesktopでは、MCPサーバーのツールをAIが利用する時に以下のような承認のダイアログが表示されます。
このダイアログで許可した場合のみ実行されます。
MCPサーバーは、誰でも開発して配布することが可能です。
もし悪意ある人間が配布しているMCPサーバーを利用すると、機密情報の漏洩や改ざんといったセキュリティの問題を引き起こす恐れがあります。
利用するMCPサーバーは公式が配布しているものや、MCPコミュニティが紹介しているものなど、配布元が信頼できる組織であることを、利用前に事前に確認しておきましょう。
最後にNotionのMCPサーバーを利用した実際の活用例の紹介をしたいと思います。
今回AIのアプリケーションはClaudeDesktopを利用します。
ClaudeDesktopはMCPの連携設定機能が予め用意されているため、比較的簡単にMCPサーバーの連携設定を行えます。
※実際のデータやURLはダミーに置き換えています。
Notionのデータベースで作成された有給取得についての資料を検索してみます。
以下のような単純なプロンプトのみで、期待する資料を正確に検索することができます。
プロンプト
Notionの[社内業務データベース]から有給取得に関する内容のページを探してください。
AIの回答例
Notionのワークスペースで有給取得に関する内容を探してみますね。まず「社内業務データベース」から有給取得関連のページを検索します。
Notion MCPの
search
ツールを利用より具体的に「有給取得」というキーワードでNotionの社内業務データベース内を検索してみましょう。
Notion MCPの
search
ツールを利用有給取得に関するページが見つかりました。最も詳しい情報が記載されている「有給休暇の取得について」のページを確認します。
Notion MCPの
fetch
ツールを利用社内業務データベースから有給取得に関する詳細な情報を見つけました。以下が有給取得についてのルールです。
有給取得について
有給についての基本的な考え方
~~~以下Notionに記載されている内容が出力される。
今回は1発で目的の資料を見つけられましたが、AIが探し出せない場合は追加の情報を伝えて再検索してもらったり、他のキーワードで再検索を指示するなど、自然言語で資料を検索できるようになります。
ミーティングの議事録内容を要約してもらいます。
プロンプトでは議事録がまとめられたNotionのURLを共有してAIがページにアクセスします。
プロンプト
以下のNotionページの議事録を要約してください。
https://www.notion.so/_-MTG_20250804-xxxxxxxxxxxxxxxxxx
AIの回答
この議事録を要約するために、まずNotionページの内容を取得しましょう。
Notion MCPの
fetch
ツールを利用社内MTG議事録要約(2025年1月1日実施)
この議事録は、〇〇会社様のWebサイト制作に関する社内ミーティングの内容をまとめたものです。主な目的は、お客様への訪問時に確認した内容を社内で共有することでした。
会議の中心となった課題と対応策について説明します。
サイトリニューアルの方向性
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デザインと内容面の調整
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今後必要な情報と次回予定
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この会議では、技術的な課題の整理から具体的なデザイン修正まで、幅広い内容が効率的に進められており、プロジェクトが順調に進行していることが伺えます。
参加できなかったミーティングの内容を効率よく把握するために、AIの要約にしてもらったり更に詳細を知りたい内容をAIに追加で質問することも可能です。
Google DriveのMCPをClaudeDesktopに設定するための方法を調査し、レポートをNotionにページで新規作成します。
プロンプト
GoogleDriveのMCPをClaudeDesktopに設定する方法をWeb検索で調査してください。 調査内容はNotionのメモデータベース(https://www.notion.so/xxxxxxxxxxxxxx)にページを作成して保存してください。
AIの回答
GoogleドライブのMCPをClaude Desktopに設定する方法について詳しく調査して、その結果をNotionのメモデータベースに保存いたします。まず、最新の情報を収集してから、分かりやすく整理してお伝えしましょう。
CluadeAIのWeb検索
それでは、GoogleドライブのMCPをClaudeDesktopに設定する方法について詳しく調査した内容を、Notionのメモデータベースに保存いたします。調査結果を整理して、実践的なガイドとして作成いたします。
Notion MCPの
create-pages
ツールを利用GoogleドライブのMCPをClaude Desktopに設定する方法について詳しく調査し、Notionのメモデータベースに包括的なガイドを作成いたしました。
この設定を成功させるために理解しておくべき重要な概念から説明いたします。Model Context Protocol(MCP)とは、AI アプリケーションと外部リソース間の安全で制御された接続を可能にする仕組みです。これにより、Claude がローカルのファイルシステムや、今回の場合Google ドライブなどのクラウドサービスと連携できるようになります。
〜〜以下設定方法についての解説が続く
Webでの調査を出力するだけでなく、調査結果をNotionに保存するまでをAIに任せることができました。
追加でプロンプトに、作成したページのURLを出力するようにと指示すると、作成されたページにも素早くアクセスしやすくもなるでしょう。
このように簡単な指示で外部サービスと連携し、調査からレポート作成までを行うことができました。
MCPとその活用例について紹介してみましたが、いかがでしたでしょうか。
MCPはまだ比較的新しい仕組みでありますが、AIとサービスを繋ぐ重要な役割になりつつあります。
実際にいくつものSaaS/PaaS/IaaSを提供している企業がAIとの連携をいち早く可能にするために、MCPサーバーの提供を行っています。
自社のサービスのMCPサーバーを開発するのは今後のAI活用においても重要になってくる可能性もあります。
アウラでは生成AIなどの活用方法をセミナーなどでも紹介しています。
AIの活用方法について詳しくお問い合わせはぜひお問い合わせフォームよりお問い合わせください。