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今年もAIと働くからこそ、「判断の主導権」を考える

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今年もAIと働くからこそ、「判断の主導権」を考える

今年もAIと働くからこそ、「判断の主導権」を考える

新年あけましておめでとうございます。
みなさま、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
エンジニアの村上です。

ここ数年で生成AIの性能は一気に向上し、
今では業務の中で使うのが当たり前の存在になりました。

コードの確認、原因調査、設定の見直し、ちょっとした壁打ちや考えの整理まで。
正直なところ、「いないと困る」と感じる場面は確実に増えているなと感じます。

一方で、使えば使うほど
「これは人間側が意識しないと危ないな」と感じる瞬間も増えてきました。

今回は、私自身の実体験を起点にしながら、
生成AIとどう付き合っていくべきかについて書いてみたいと思います。

「一緒に原因を探しているはず」なのに、遠ざかっていく答え

ある業務で、問題に直面した時にAIを利用し、改善を試みていました。

AIにも状況を説明しながら
ログを確認し、設定を洗い、「一緒に原因を探す」形でチャットを続けていました。

ただ、何度やり取りしても問題は解決しません。

提案される修正を試しても改善せず、
説明もどこか噛み合っていない感覚が続いていました。

そこで一度、そのチャットを閉じ、
新しいチャットで同じ内容を最初から説明し直してみました。

すると今度は、
驚くほどあっさりと原因が特定され、
実際の修正で問題も解消しました。

このとき、
「さっきまでのやり取りは、よくないループに入っていたのではないか」
と強く感じました。

AIは嘘をつかない、ただ「空気を読みすぎる」だけ

 

この体験は、今振り返るといわゆる ハルシネーション に近い状態だったのだと思います。

ハルシネーションとは、
AIが事実ではない内容を、もっともらしく生成してしまう現象です。

重要なのは、AIが「嘘をつこう」としているわけではない、という点です。

会話の中で一度誤った前提が入り込むと、AIはその前提を維持したまま
整合性のある回答を作ろうとします。

結果として、
「話の筋は通っている」
「でも現実とはズレている」
という状態が続いてしまいます。

最初のチャットでは、この「ズレ」が少しずつ蓄積され、抜け出しにくい状態になっていたのだと思います。

チャットを切り替えたことで前提が初期化され、正しい方向に戻れた、そんな構造だったのだと感じました。

ハルシネーションを抑えるために、実務で意識していること

この経験以降、誤った方向に引きずられないために、
AIを使うときに意識的にやっていることがあります。

コンテキストを切り替える

行き詰まったら、同じチャットに固執しません。
新しいスレッドで最初から説明し直します。

プロンプトの具体化

「教えて」ではなく、
「公式ドキュメントに基づいて」「特定バージョン前提で」など、
情報の参照先や前提条件を明示します。

役割を固定する

「あなたはWebエンジニアとして」「実装担当者の視点で」など、
回答の立場を固定することでブレを減らします。

Step-by-Stepで考えさせる

「順を追って説明してください」と入れるだけで、
飛躍した結論が減る印象があります。

わからない」を許可する

「不確かな場合は推測せず、わかりませんと答えてください」
と入れることで、無理に整合性を合わせようとする振る舞いを抑制できます。

根拠を求める

URLや公式ドキュメントなど、参照元を一緒に出させることで、
こちらも判断しやすくなります。

ただ、こうした「知識の誤り」を防ぐ対策を講じていても、なお拭いきれない違和感が残ることがあります。
それが、ハルシネーションとはまた異なる、「デセプション」という側面です。

ここで見えてくるデセプションという問題

ハルシネーションが「知識が足りずに間違える」現象だとしたら、
デセプションは「ユーザーとの会話を円滑に進めるために、AIが意図を汲み取りすぎてしまう」ことで起こる振る舞いの歪みです。

AIには、学習の過程で「ユーザーを満足させたい」「タスクを完了させたい」という強力なバイアス(傾向)が組み込まれています。
これがエンジニアの業務においては、時に「危うい優しさ」として現れてしまいます。

  • 「たぶんこれで動く」状況なのに、「これで解決します」と断定的に言い切る。
  • 「仕様が不明確」なのに、「一般的にはこうです」とそれらしい回答で会話を繋いでしまう。

AIは嘘をつこうとしているのではなく、「有能なアシスタントとして、期待に応えようとした結果」として、事実とは異なるポジティブな回答を選んでしまうことがあるのです。
私たちエンジニアがこの「デセプション」に対して無自覚でいると、AIの「自信満々な振る舞い」を信じ込み、誤った実装や設計をそのまま通してしまうリスクに直結してしまいます。

さいごに

最後になりますが、AIはどこまで進化しても、私たちの責任を肩代わりしてくれるわけではありません。
ハルシネーションデセプションという現象に直面するたびに、AIがまだ「完成された知性」ではなく、特定のバイアスを持った「不完全なツール」であることをを実感します。

私たちが意識すべきは、AIを盲信するのではなく、AIが出した回答を徹底的に疑い、検証する「レビュアー」としての視点を持つことだと思いました。

「いないと困る」存在だからこそ、適切な距離を保つ。
一つ一つの小さな一手間が、エンジニアとしての品質を守る大きな一歩になると信じています。

2026年も、AIという強力なパートナーを乗りこなし、より良い価値を創出していきましょう。

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