こんにちは、デザイナーの中道です。
2025年も残すところあと少しとなりました。
Webサイトの世界では、気づけばもう次のトレンドへと動き出しています。
今年もたくさんの新しいトレンドが生まれては定着してきましたが、改めて「トレンド」は完全に新しいものが生まれるわけではないと実感しています。
Webデザインやコンテンツのトレンドは、過去の手法を改めて見直し、最新の技術やユーザーのニーズに合わせて「継承し、進化させる」という形で変化していきます。
2025年のWebサイトも、2024年以前から続く流れをベースにしつつ、より質感・没入感・体験価値を高める方向へシフトした一年でした。
今回は、様々なWebサイトを見た結果の自分なりの2025年に特に印象的だったトレンドを参考サイトを踏まえてご紹介します。
ダークモードは単なる“暗いテーマ”ではなく、目の疲労軽減・バッテリー消費削減・高級感の演出を兼ね備えたUIデザインとして定着しつつあります。
2025年ではもうすでにダークモード自体が標準化されており、誰もが知る存在となり、Webサイトでも必ず意識するものになってきました。
そんな中、今年はダークモードをうまく利用したサイトも多く見受けられた印象です。
その中でも自分が気になったサイトが「世界最大級の水族館 海遊館」のサイトです。
一見何がダークモード?と思われるかもしれないですが、画面右上にダークモードへの切り替えボタンがあり、こちらを切り替えるとダークモードに切り替わります。

ダークモードになると背景が暗くなり、メインイメージの水槽のジンベエザメと人物のシルエットの写真と相まって、さながら水族館の中にいるような印象を与えます。
ただ単に、ダークモードになるだけではなく、より没入感を与えるようなサイトになっています。

【関連記事】Webサイトのダークモード対応について考える。今後のWebサイトのデザインはどうするべき?
3Dとの融合、こちらも定番化しつつある表現です。
Web技術の進化(WebGL・Three.js・Splineなど)より、ローディング速度を保ちながら3D表現をWebサイトに組み込むことが手軽になりました。
没入感のある体験や、製品をあらゆる角度から確認できる表現は、静止画よりもインパクトを残す表現です。
個人的に気になったサイトとしては、「【公式】SODATERU Lab:(ソダテルラボ)」のサイトです。
こちらのサイトは、おそらく(?)実寸サイズの商品自体が3Dになっており、くるくると動きながらページを通して常に表示されています。
大きく表現した3Dのリアルな商品が、没入感とインパクトを与え、最後までスクロールしたくなるユニークなサイトになっています。

デジタル表現の完璧すぎる滑らかさにあえて「ノイズ(ざらつき)」を加える手法です。
グラデーションにノイズを加えることで、アナログなテクスチャ感やフィルム写真のような温かみを演出し、Webデザインに深みと人間味を与えます。
こちらは、近年グラフィックデザインでもよく見られる表現で、Webサイトでも多く見られましたが、その中でも印象的だったサイトは「カロア(Web制作のための発注&パートナーシップ構築ガイド)」のサイトです。
銭湯をイメージしたサイトになっていますが、湯気をノイズグラデーションに表現することで、レトロ感と温かみをうまく表しています。
おそらく、パートナーに「裸の付き合い」ができるくらいの親しみを持ってもらう、というような意味合いを込めているであろうおもしろいコンセプトもさることながら、さながら絵本を読み進めているような、最後まで読み進めたくなるユニークな体験を味わえるサイトです。

日々追求する「使いやすさ」や「美しさ」の規範を意図的に打ち破る、大胆で粗削りな表現です。
まず「ブルータリズム」とは、1950年代から1970年代にかけて盛り上がった建築ムーブメントのことで、フランス語の「Béton Brut(生のコンクリート)」に由来する、飾り気のない素材そのもの(コンクリートや鉄骨)を剥き出しにした、力強く無骨な表現のことです。
ネオ・ブルータリズムは、この感覚をデジタル空間に持ち込み現代風に解釈したもので、メッセージを最もストレートにかつ強烈に伝えます。
こちらの表現もよく目にしましたが、印象に残ったサイトは「株式会社丹青社|採用サイト」です。
一見わかりづらそうと思ってしまいそうではありそうですが、実はシンプルで内容がわかりやすく、どんどん読み進めてしまいます。
ダイナミックでインパクトを与えるビジュアルが先進的な印象で、ターゲットとなる世代にも印象に残るサイトになっています。

2025年を代表する生成AIはWebサイトのビジュアル面でも多く利用されたと思います。
制作者の仕事を奪う存在ではなく、より表現の幅を広げるためのツールとして新たな可能性を与えてくれる存在となりました。
こちらに関しては、おそらくAIを使っているであろうという表現は多く見受けられましたが、生成AIかどうかを断言でき無いため、ご紹介できる参考サイトがありません、、、
今後もAIとうまく付き合い、様々な可能性を生み出したいですね。
今回ご紹介したトレンドの中でも、特に注目すべき動きがあります。
それは、フラットデザインから抜け出した「リアル」を追求する動きです。
こちらは、おそらく2026年にも引き続き受け継がれる表現で、スタンダードになる可能性の表現だとも予想します。
理由としては、2025年にAppleが発表した「リキッドグラス」です。
「リキッドグラス」は、透明感、屈折、反射といった物理的な特性をデジタル空間で再現しようとする試みです。
「スキューモーフィズム」→「フラットデザイン」とAppleが取り入れたUIが、世界の標準となって誰もが理解できるUIとなってきた過去がありました。
そのため、今回もこの「リキッドグラス」のリアルで没入感のある表現方法が、今後、誰もが理解できる表現としてスタンダード化されていくと予想されます。
このことを踏まえて、2026年のWebデザインは、2025年の流れを受け継ぎつつ「よりリアルでダイナミックな没入感のある表現」が進化を遂げていくのではないかと、自分なりに解釈しました。
ユーザー体験の向上と視覚的な楽しさを両立させる、よりリッチで、より直感的なインターフェースが、2026年のWeb制作に標準的に取り入れられていくように思います。
今後も世の中の流れに気を向けながら、新たな発想を大切にWeb制作と向き合っていきたいです。